2020年5月2日土曜日

【Grasshopper_33】ガラスの皿を作ってみた


いよいよ、GWに突入しました。

せっかく時間ができたので、日本の伝統工芸品シリーズの続きを進めることにしました。

練習にちょうどよさげだなと思って選んだのが、日本の伝統工芸品で有名な、ガラスの皿です。

先日の、切子のコップの時とは違い実物が手元になかったので、ネットから検索した、ちょうどよさげな画像をベースに作ってみました。
完成状態の図は以下のような感じです。
・表面側
・ボトムビュー
すべてNurbsサーフェスによるモデリングです。

Step1.同心円の作成

・XY平面上に、二つの円を作成します。

・大きさは皿の外形のおおよその値を写真から推定して決めます。

Step2.同心円の作成その2

・続いて、XY平面上に同心円を作ります。

・まずは同心円の数をNumber Sliderで調整できるようにし、Rangeコンポーネントを使って、0から1の間を等分割した数列を作ります。

・等分割した数値をGraph Mapperコンポーネントに入力することで、等間隔だった数値の差に変化をつけます。(最小値が0、最大値が1は変わり無いです)

・間隔を変化させた数値に、Step.1で求めた外側の円の半径を掛け合わせることで、最小値が0、最大値が外側の円の半径になるような同心円ができます。
※半径が0の円は必要がないのでCull Indexコンポーネントを使って除外します。

Step3.最外側の円の分割点と原点間に直線を引く

・Step.2で作った同心円のもっとも外側の円をList Itemコンポーネントで取り出します。

・取り出した円を、Divide Curveコンポーネントを使い、同心円と同じ数だけ分割点を作ります。

・作った分割点と、原点との間に直線を作ると上図のようになります。

Step4.Nurvs curveを作る

・Step.3で作った直線と、同心円との交点を求めます。

・Line コンポーネント内の順番を、Reverse Listコンポーネントを使って反転することで、上下対称の交点が求まります。

・Nurvs Curveの始点を原点にしたいので、Insert Listコンポーネントを使って、交点の数列の先頭に原点(0,0,0)を挿入し、Interpolateコンポーネントを使って自由曲線を描きます。

Step5.曲線を回転させる

・Step.4で求めた二本のカーブを原点周りに回転させます。

・回転する本数は、今回は30本とし、360を30で割った値を回転角度としています。

Step6.中央部分のカット

・皿の中央部分は切り欠きが入らない部分となりますので、Step.1で求めた内側の円を使ってカットします。

・Step.5で求めた回転カーブと内側の円との交点を求め、Shutterコンポーネントにつないでカーブの片側を抽出します。

Step7.回転カーブの分類

・Step.6で求めた、2種類のカーブを、それぞれ、1個おきに分類します。

・Cull Patternコンポーネントを計4つ用意し、片方がTrue False、もう片方がFalse Trueの順序でそれぞれのカーブにつなぎます。

・これ以降、判別しやすいようにA-1,A-2,B-1,B-2と名前付けしました。

ここから先は、切子の溝の部分を作っていきます。

Step8.皿の裏面を作る

まずは、下の図のようにお皿の底面をRhinoceros上で作ります。
・原点を中心に、幅が100mm、高さが23mmの四角枠の中になだらかな曲線を作成し、回転させてサーフェス化しています。

・厚みは後の工程で付けますので、ここではひとまず1枚の底面のみ作ります。

・次に、Grasshopperに作った底面サーフェスを取り込み、オフセット面を作ります。
今回は、Zマイナス方向に1mm、Zプラス方向に0.5mm,2mmの計3種類を作ります。
・ついでに、溝の幅を2種類、Number Sliderで用意します。

・サーフェスは、少し大きめに作っておくと後の加工がやりやすくなるので、Rhinoで作ったお皿の底面の端末を数mm延長しておきます。また、この後に行う、ブーリアン演算がうまくいかないときは、リビルトサーフェス機能を使って、サーフェスのUVを整えておくことをお勧めします。

Step9.溝の3D曲線の作成

・まずはStep.7で作ったA-1カーブを加工していきます。

・原点を中心に、A-1に含まれているぞれぞれの曲線を2.5°、回転させます。マイナスの数値を掛け合わせて、逆向きに回転させたカーブも同時に作ります。

・回転させたカーブを-1mmオフセットさせた面に投影します。

・つぎに、A-1カーブ自体を+2mmオフセットさせた面に投影します。

・投影した各3DカーブをMergeコンポーネントを使って一つのコンポーネントにまとめ、Loftで面を張りCap Holesコンポーネントを使って開口部に面をはると、上の図のような三角形の立体ができます。
※LoftのOptionsはStraightに設定しておきます。

Step10.溝の3D曲線の作成その2

・同様に、A-2カーブも加工します。

・回転角度は2°とし、-1mmオフセットした面に投影し、A-2カーブ自体は+0.5mmオフセットさせた面に投影し、それぞれをまとめてLoftで3D化します。

Step11.溝の3D曲線の作成その3

・B-1カーブも同様に、2.5°回転させたあと、-1mmと+2mmのオフセット面に投影し、Loftで3D化します。

Step12.溝の3D曲線の作成その4

・B-2カーブも同様に、2°回転させた後、-1mm、+0.5mmオフセットさせた面に投影し、3D化します。

Step13.Rhinoにbakeする

・Step.9~12で作った3D形状をライノにBakeすると、上図のような形になります。

Step14.皿本体の作成

・お皿本体のデータを作成します。

・Step.8で作った、底面形状を使って作っていきます。

・次の手順のブーリアン演算をうまく実行させるため、必ずオープンエッジが無い状態にします。また、角はフィレットをかけて丸めておきます。

Step.13でBakeした、溝部分の立体形状も表示させ、裏から見ると下図のような状態になります。

Step15.ブーリアン演算を使って完成させる

・ライノ上でブーリアン演算を実行すると、完成です。
※Grasshopperにもブーリアンの機能がありますが、あまり綺麗な形にはならないようなので、ライノで作業することをおすすめします。

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