2019年7月26日金曜日

【Grasshopper_25】パラメトリックデザインの勉強方法

★パラメトリックデザインの勉強方法について考えてみた

業務でGrasshopperを使い始め、いままでに色々なデザインパターンの再現に取り組んできましたが、会社のCAD環境にライノセラスを導入する敷居が高いこともあり、アルゴリズムの構築方法そのものの普及促進についてはあまり進んでいませんでした。

そんな中、Grasshopperの競合相手ともいうべきDynamoがAliasに搭載され(正確には搭載というよりは別々のアプリが連動するようになったというべきか・・・)、多くの企業内モデラーやデザイナーでもチャレンジできる環境が整いつつあります。
しかし、一度でもやってみようとした人ならわかると思いますが、そう簡単に使いこなせるものではなく、自分が意図したデザインを再現するのが非常に困難です。その理由は、ビジュアルプログラミングとうたわれているだけあって、実際の作業はプログラミングに近いこともあり、感性に頼った従来のデザイン思考とは別の考え方が要求されるからです。文系出身者が多数を占めるデザイン関係者にとっては、いくらビジュアル的なプログラミングとはいえ難易度が高いことを何度も感じて来ました。

とはいっても、本格的なプログラミングに比べると敷居は低いので、段階を踏んで学習をすることで誰でも使いこなせるようになります。

前置きはこれぐらいにして、これまでの自分自身のたどってきた道を振り返り、こうしたら上達しやすいよというアドバイスでお役に立てられたらと思います。

1.まずは基礎を覚えましょう

パラメトリックデザインの活用目的は様々で、多種多様な業界の方が、有機的なデザインだったり工業的なシミュレーション、または繰り返し作業の効率化などで活用しています。

しかし、いずれの場合も基礎がしっかり身についていないと「こんな形を作りたい」と思ってもそこにたどり着けないし、誰かが作ったアルゴリズムを改良することも難しいです。
たとえていうならば英文法を知らずにめちゃくちゃな英語で「会話する、本を読む、ニュースを見る、ラジオを聴く」ような物です。

そこで、まずはしっかりとした基礎を身につける必要があります。
Grasshopperユーザーでしたら、まずは下記の教本を最初から最後まで読み進めながらサンプルを作成してみてください。

解説が丁寧に書いてありますが、一回読んだだけでは完全な理解が難しいので、できれば3,4回は繰り返し、暗記するぐらい作り込んでください。大事なのは実際に手を動かして組んでみるのと、各コンポーネントの役割を理解することです。基本的にはエディターの左から右に向かって、数字や文字が伝わって最終アウトプットにつながるので、途中でどのように数字が加工されているかをしっかり把握することが上達につながります。

Dynamoユーザーであれば、オンライン上にあるDynamo Primerがお勧めです。

この段階では、まだ「こんなの勉強しても、自分のやりたいことにつながるのかな?」と疑問に思うかもしれませんが、最低限は上に紹介した内容をやりこむことをおすすめします。
この段階が終わった時点でようやくスタートラインに立ったと考えてOKです。
わからない箇所が出てきたら、その部分をネットで調べて見識を深めるのもおすすめです。一日1時間の学習を続けたとして、2~3カ月はかかると思います。

2.ネット上のサンプルファイルを真似してみましょう

1の状態だとまだ応用スキルが足らないので、ネット上にころがっているサンプル(ghファイル)を片っ端からダウンロードし、自分でトレースして見てください。Grasshopperの公式サイトがお勧めです。ただし、Pythonなどのスクリプトが含まれるものは後回しで結構です。

個々のコンポーネントの役割は調べれば理解できると思いますが、複数のコンポーネントを組み合せることで一つの機能を実現するノウハウもありますので、一つ一つ理解を進めながら、「この場合にこういう組み合せが使える」というノウハウを習得してみてください。

モチベーションを保つため、自分の作りたい形状に近いものを探してみるのもいいかもしれません。

気づいた事を忘れないよう、ノートに書き留めたり、解説を記載したアルゴリズムのスクリーンショットを保存しておくのも有効です。むしろやったほうがいいと思います。
私もA4ノート1冊に記録しています。

3.各自の目的に合ったデザインにチャレンジしましょう

2まで来たら応用力がついてきたと思いますが、実際に業務で使ってみる(限られた時間で、デザインスケッチをデータで再現する)には場数を踏む必要がありますので、怖がらずにチャレンジしてみてください。

最初から複雑なパターンは挑戦せず、簡単なものからスタートするのが肝要です。慣れるまでは、手作業で作ったほうが早い場合もありますが、そこは我慢して使い続けたほうがいいです。

最初は時間がかかると思いますが、徐々に慣れてくると、過去に作ったノードの使いまわしが捗るため、作業時間がどんどん短縮されていきます。

4.学習時間について

最後に学習時間ですが、できれば毎日、1時間程度は確保してほしいです。
仕事で忙しくて確保しずらいかもしれませんが、間が空いてしまうと、それだけ忘れる内容も多く、習得時間が伸びてしまいます。
1日1時間の学習で、業務で使えるレベルまで1年はかかるとみておいたほうがいいです。

5.2~3年は継続して使ってみてください

必要なスキルが頭の中にすべて入っていて、スケッチをぼーっと眺めながら完成形、およびそれに至るまでのアルゴリズムが数分で頭に思い浮かぶ状態まで2,3年かかります。
ですが、この段階まで来れば大抵のものは1~2日でサクッと作れるし、色々な事にチャレンジできますので、めげずに頑張ってほしいです。

ざっと書きましたが、以上、お役に立てられると幸いです。

0 件のコメント:

コメントを投稿

【Grasshopper_98】SporphとSurface Morphingの特徴、違いなどについて

今年もまたGWに突入しましたね。コロナ明けに円安、インバウンド特需のおかげで東京から郊外に出かけると例年以上に混雑に巻き込まれそうなので、昨年と同様、連休中は家に籠ってブログを更新します。今回のテーマは、Surface MorphingとSporphの違いについてまとめてみました。